今年話題となった人をモデルにした年末恒例の「変わり羽子板」。スポーツ界からは、女子ゴルファーの渋野日向子選手も選ばれました。
ルーキーイヤーだった渋野選手は、国内ツアーで4勝、賞金ランキングは2位と賞金女王は逃したものの、最優秀選手(MVP)を受賞と大健闘。
また、AIG全英女子オープンでは42年ぶりに海外メジャー制覇を果たし、一躍時の人となりました。まさに、シンデレラストーリーを地でいった渋野選手です。
そんな彼女の活躍ぶりを振り返ってみました。
全英オープン制覇までの軌跡
昨年のファイナルクオリファイングトーナメント(QT)では40位と、今季の前半戦で何試合出場できるかわからなかった状況からのスタートでした。
まず、初戦の「ヨコハマタイヤゴルフトーナメント PRGRレディスカップ」で、いきなり6位と健闘。続く2戦は予選落ちしましたが、7戦目の「38th フジサンケイレディスクラシック」で2位タイと優勝争いを演じます。
相手は、今季賞金女王争いした鈴木愛選手と申ジエ選手。この時から既に予兆があったのかもしれません。
初優勝は国内メジャー
初優勝は、9戦目の国内メジャー「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」です。これで3年シード権を獲得しました。
今季の目標は、「シード権の獲得」でしたが、これを楽々クリアー。しかも3年です。
この時点で3,500万円以上の賞金を獲得していましたが、続く4戦は不調。
渋野選手が、8月の「AIG全英女子オープン」の出場権を得るには、6月終了時での賞金ランキング5位以内に入っていなければいけませんでした。
今季を振り返ると、何かの目標を持ったときの渋野選手は必ずと言っていいほど、好スコアをマークします。
残り2試合となった時点では圏外にいましたが、「ニチレイレディス」で7位タイ、「アース・モンダミンカップ」で4位と結果を残し、賞金ランキング3位に滑り込み、見事出場権を手にしました。
どちらも最終日に60台をマークして順位を上げての結果です。仮に、この2試合で上位に入れなければAIG全英女子オープンの出場もなかったし、ここまでの”しぶこフィーバー”もなかったでしょう。
2勝目は「資生堂 アネッサ レディスオープン」
出場権を手にした彼女は、さらに「資生堂 アネッサ レディスオープン」で優勝し、その名を一躍ゴルフファンに知らしめました。
開き直ったときの強さ、ここ一番での圧倒的な集中力の高さを周囲に知らしめたことは間違いありません。
稼いだ賞金もこの時点で7,400万円と20歳の新人選手としては破格の金額です。プレースタイルも初戦から笑顔を貫き”微笑みの天使”と称され人気を集めました。
しかし、この時点でも渋野選手が海外メジャーで勝利するとは誰も予想していなかったでしょう。
AIG全英女子オープン優勝
「AIG全英女子オープン」に出場した日本人選手は、上田桃子、上原彩子、勝みなみ、渋野日向子、鈴木愛、畑岡奈紗、比嘉真美子、安田祐香、横峯さくらの9人。
この中で優勝の期待が最も高かったのは、世界ランキング最上位(9位)の畑岡選手。次に期待が高かったのは、前年に優勝争いした比嘉選手や、日本ツアーのエース格である鈴木選手でした。
ところが、この3人がいずれも予選落ちし、それ以外の6人が決勝ラウンドに進出。その中で、渋野選手が首位と3打差の通算9アンダー2位で決勝ラウンドに進出します。
そして3日目に通算14アンダー単独首位に浮上し、最終日の前半で4パットして逆転を許しながらも、後半9ホールで再逆転を果たして、見事優勝しました。
海外でも笑顔のプレースタイルが話題となり、”スマイリングシンデレラ”と称され、ゴルフファンを魅了し、一躍”時の人”となります。
帰国後の賞金女王争い
帰国後の初戦は「北海道 meiji カップ」。休む間もなく北海道入りしましたが、疲れもあったのか13位タイで大会を終えます。
この後、ギャラリー入場数も記録づくめの試合が続き、日本中のゴルフファンに注目される渋野選手ですが、すぐに優勝とはいきません。
続く「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」では優勝争いをしますが、最終ホールで3パットをしてしまい3位タイと全英の再現とはなりませんでした。
マスコミは「渋野の優勝」を期待し、多くのゴルフファンは「いつ勝つのか?」「どんな勝ち方をするのか?」と彼女の優勝を期待します。
8打差を逆転優勝
このまま重圧で押しつぶされるのではないか?と心配しましたが、帰国後の5戦目「第50回デサントレディース東海クラシック」でその期待に応えました。
それも2日目の終了時点で20位タイ。誰も優勝には届かないだろうと思われた最終日でした。
なんと8打差をひっくり返しての優勝です。これもまた予想外の展開に誰もが驚いたことでしょう。
「何をするか分からない」と渋野選手の人気はさらに高まります。
この優勝で獲得賞金は1億円越えと1位の申ジエ選手に続く2位に浮上し、「次は賞金女王を狙います」とマスコミに煽られている感はありましたが、さらに目標を掲げました。
達成できれば、史上最年少の賞金女王です。
世界ランキングも自己最高の11位に浮上し、畑岡奈紗選手に続く日本選手2位と2020年東京オリンピック出場の最有力候補を確実なものとした感がありました。
しかし、また渋野選手に試練が訪れます。
渋野選手の試練。賞金女王争いから離脱
東京オリンピック出場を確実なものにする為、ポイントの高い米国ツアー「スウィンギングスカート台湾選手権」に出場しましたが39位に終わり、逆に世界ランキングを下げてしまいます。
さらに国内で行われた米国ツアー「TOTOジャパンクラシック」でも13位と振るわず、ランク15位まで後退。
続く、国内ツアー「伊藤園レディース」では、まさかの予選落ちを喫して、賞金女王争いから離脱しました。
この間に鈴木愛選手が3連続優勝して、いっきに賞金ランク1位に浮上。世界ランキングも17位に浮上し、渋野選手の東京オリンピック出場にも黄信号がともります。
鈴木選手の3連続優勝で”しぶこフィーバー”に若干陰りが見えたかと思われましたが、以前マスコミは渋野選手にも注目です。優勝戦線が外れた試合でも渋野選手を追いかけます。
鈴木選手が気の毒に思えました。ケガの復帰から3連続優勝、今季7勝を挙げているのですから・・・このまま賞金女王へと注目されるべきでしょう。
渋野選手も今季は充分パフォーマンスです。女子ツアーを盛り上げた2人にファンから「ありがとう」と感謝したいところでした。
しかし、シブコ劇場はまだ終わりません。
渋野日向子、バーディ合戦を制し今季4勝目
鈴木選手が勝てば史上初の4連勝がかかる「大王製紙エリエールレディスオープン」でのこと
先週予選落ちした渋野選手は、肩の荷が下りたのか予選を首位と4打差で通過。そして3日目に「66」をマークしてV圏内に浮上し、鈴木選手と共に首位と2打差で最終日を迎えます。
最終日は、お互い一歩も譲らないバーディー合戦。
先週予選落ちして「私には賞金女王はまだ早かった」と自ら終戦宣言とも言える発言から一転。鈴木選手に食らいつき、渋野選手が今季4勝目を飾りました。
窮地に追い込まれた時、または開き直った時に実力を発揮できる稀有なタイプであることを改めて証明しました。
再び賞金女王争い
「大王製紙エリエールレディスオープン」の優勝で再び賞金女王になるチャンスが到来です。
マスコミは「渋野、逆転賞金女王か?」と大きく打ち出しますが、本人の渋野さんは無欲のようです。
賞金ランキングトップにいた鈴木選手の結果次第で、逆転賞金女王が決まる最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」の最終日。
渋野選手は首位と2打差の好位置でスタートしました。ゴルフファン以外にも注目を浴びたが、結果は2位タイでフィニッシュし、史上最年少での賞金女王誕生とはならず、鈴木選手に757万円及ばない賞金ランキング2位で今季の全日程を終了しました。
終盤戦の鈴木選手の猛追でさらに盛り上がった女子プロゴルフでしたが、来季の国内女子ツアーも渋野選手中心の戦いになるでしょう。
見どころは、東京オリンピック出場に向けての世界ランキングです。最大4人までの出場枠にどの選手が入るのかに注目です。
2019今年の顔、渋野日向子の成績【まとめ】
今季の渋野日向子さんの活躍をまとめると、初めて出た試合でいきなり6位。7戦目の「38th フジサンケイレディスクラシック」の難コースで2位タイ。
そして初優勝が国内メジャーの「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」。これで3年シード権を獲得。
何と言っても世間をビックリさせたのが8月の「AIG全英女子オープン」優勝です。あまり知られていないかと思いますが、この海外メジャーの出場枠に滑り込みで獲得したのも見事でした。
また、全英オープンの出場権をてにした翌週の「資生堂 アネッサ レディスオープン」で2勝目を飾ります。
全英優勝後は、どの試合も注目される中「第50回デサントレディース東海クラシック」で8打差を逆転して3勝目。これで賞金1億円を突破です。
この優勝は、全英制覇に匹敵するほどゴルフファンを驚かせました。
最後の4勝目は「大王製紙エリエールレディスオープン」。鈴木選手とのバーディ合戦は、私的に歴史に残る「名勝負」でした。
獲得した賞金額は海外ツアーを含めると2億円を超えです。全く無名と言っていい新人選手が、ここまでの成績を残せたのは圧巻と言う他はないでしょう。
今季、賞金女王は逃しましたが、年間を通じての総合的な活躍度を評価するメルセデスランキング(年間最優秀選手賞)の受賞は当然と言うべきです。
本人の渋野日向子さんも今年の成績は「謎」の一字に尽きるとのこと
本人が「謎」ならば私たちファンは、どう表現すればいいんでしょう?・・・「神」かな?