今、「最も人気があり、最も期待されているアスリートの一人」として渋野日向子さんが、TBS系ドキュメンタリー番組「情熱大陸」に登場しました。
8月にAIG全英女子オープンを制し、女子プロゴルフ界に”しぶこフィーバー”を巻き起こした渋野日向子さん。
番組では、活躍の裏で、プレッシャーと闘う彼女の内面にも迫りました。
笑顔と苦悩のシンデレラ
全英女子オープン優勝で、一夜にして人生が変わった渋野日向子さん。
笑顔のプレースタイルから「スマイル・シンデレラ」と称され、帰国後は、彼女が出場する試合は、多くのギャラリーが集まり追いかけました。
元々ソフトボールをしていた渋野さんは、小学2年の時にゴルフに出会い、ゴルフとソフトボールを両立していましたが、中学からゴルフ専念。そして高校は、岡山県作陽高等学校に進学します。
ゴルフに専念した理由は「お金が稼げるから」と将来を見据えてのことでした。
高校卒業後は、一度プロテストに失敗しましたが、青木翔コーチに出会い、昨年(18年)のプロテストに合格。今年(19年)から国内ツアーに参戦しました。
まず、初優勝が国内メジャー(サロンパスカップ)という鮮烈なデビュー。そして全英を制し、日本中に”しぶこフィーバー”を巻き起こします。
注目される中でも「デサントレディース東海クラシック」では8打差をひっくり返して、劇的な逆転Vを飾るなど勢いは止まりません。
また、鈴木愛さん、申ジエさんとの賞金女王争いも、最終戦リコーカップまでもつれ込み女子ゴルフの人気をけん引しました。
稼いだ賞金は、海外ツアーを合わせると約2億2500百万円。また2020年の東京オリンピック出場も最有力選手として期待されています。
高校の時にゴルフ一本に専念した渋野さんは、今年いっきに花を咲かせました。
プレッシャーと闘う渋野さん
順風満帆に思える今年一年の活躍ですが、番組ではプレッシャーと闘う渋野さんの内面にも迫っています。
全英後の8打差を逆転した「デサントレディース東海」で、さらに勢い付いた”しぶこフィーバー”。
今度はどんな勝ち方を見せてくれるのか?と多くの期待がかかります。
しかし終盤戦になるとショット・パット共に安定しません。それでも優勝することが当たり前のように期待され、プレッシャーに苦悩する渋野さんです。
いつしか”スマイル・シンデレラ”が重荷になり、笑顔も少なくなります。
「私も人間だから毎日毎日ずっと笑っていられるわけじゃないです」
また
「全英オープン以来、パターで手が震えるようになった」とも明かしました。
そして、賞金女王争いの一番大事な試合で、まさかの予選落ち。
渋野さんは、悔し涙を流します。
渋野さんの苦悩とともに、青木コーチの証言も紹介されていました。
彼女の強さは「素直さと継続力」です。プロテストに合格前から続けるパッティング練習は、どれだけ時間が遅くなっても、欠かさず、やり遂げてコースを後にする。
渋野さん自身は、この理由を「不安だから」と話していました。
父親から魔法の言葉
伊藤園レディースの予選落ちで、岡山の実家に帰った時、父親の悟さんと言葉を交わしたと言う。
「たった3分間でしたが、だいぶん刺さった」と言う渋野さん。
「会話の内容は明かせない」と言うことですが、翌週の「大王製紙エリエールレディースオープン 」でみごと優勝を飾ります。
父親からどんな魔法の言葉をかけられたのでしょうか? 「悔し涙」から一転して、今度は「嬉し涙」にかわりました。
勝ち方も見事です。賞金女王争いをする鈴木愛さんと一騎打ち。バディー合戦を勝ち切っての優勝です。
先週の伊藤園レディースの予選落ちで「賞金女王争いから離脱」という雰囲気のなか、これで再度チャンスが到来しました。
最終戦のリコーカップは、マスコミも「渋野、逆転賞金女王か?」と大きく打ち出します。もし達成すれば「史上最年少の賞金女王」誕生ですからね。
結果は、2位と賞金女王とはなりませんでしたが、最後はバーディでフィニッシュです。それも満面の笑みで
最終ホールは「1年間の感謝の気持ちを込めた3打が打てた」「最後のバーディは、本当にスカッとしました」と一年を締めくくりました。
「結局、どう思われようが自分の人生」「ありのままの自分でやればいいんだ」というのが彼女の結論です。
父親の”魔法の言葉”もこの辺りに隠されているのかもしれません。
よく渋野さんのことを「漫画にしても出来すぎ!」と言われますが、本当に完璧な”スポ根ストーリー”です。
最終戦は「惜しくも賞金女王とはならず」とする所も続編へ期待させるシナリオですね!
来年のしぶこ劇場も楽しみです。
今年一年、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。